【第3章】実母のがんと介護、そして新たな命

我が家の家族史

長男を見送ったあと。ずーっと私の心は壊れたまま状態。
悲しみの底に沈んで、毎日がただただ辛くて苦しくて――息をしていることすらしんどかった。

この間の友人や同僚の妊娠や出産の報告。赤ちゃんの話題、街なかですれ違う親子。
心の底から、全部が本当に憎く思えてしまっていました。他人の子の顔なんてまともに見られなかった。

「世界中の全部の親子が引き裂かれてしまえばいいんだ!」
そんな醜い考えに本気でずーーーっと。とらわれていた自分が大嫌いでした。

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なちょぱ

毎日がつらい!つらすぎる!苦しい!!!

毎日毎日、生きているのが苦しくて苦しくて・・・。辛いだけ。

でもやっぱり。                                       自分はずっと、長男に「がんばって」「生きて」「負けないで」と言い続けていたから。
長男の前で顔向けできない親になりたくなくて。その意地だけで、踏ん張って生きていました。

でも、ある時気づいたんです。
この悲しみは、長男をそれだけ深く愛していたからこそ生まれたものなんだから。だからどんなに悲しくても仕方ない。当然だと。

よく「我が子に何かあったら生きていけない」といいますよね。                 でもね、現実は「何か」があっても親はその後も生きていかなきゃならないんです。        それこそ、何より辛いんですよね。        


そんな地獄のような日々を過ごした約1年後――私は新しい命を授かりました。
リーリーの妊娠です。

嬉しかった。心から。
でも、同時に思ったんです。

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なちょぱ

このお腹にいるのは長男じゃないんだよね・・・・

当たり前だけれど。長男にはもう会えない。それを再確認させられるような妊娠期でした。

それでも、リーリーが私のお腹に来てくれたことは、
私を深い悲しみの沼の底から少しずつ魂を引き上げてくれました。


妊娠中はとても順調でした。
けれど出産の2か月前、今度は実母が倒れました。
肝臓に病が見つかり、緊急入院。

私は毎日、母の見舞いと仕事、自分の出産準備に追われる日々を過ごし出産に挑みました。
母の退院直後にリーリーの出産。

予定帝王切開で、今回は私も特に異変もなく無事に出産。                    念の為のリーリーの心臓の検査も無事クリア。
ホッと胸をなでおろしたのを覚えています。


私は一人っ子。父は昭和の男性で家庭のことは一切手出しはしません。なので母のことが心配で、出産直前でしたが実家へ引っ越しし同居スタート。
こうして、育児と看護、そして家事の三本立て生活がスタートしたのです。

はてさて。またまたお金の無さに負けて。                           そんな状態でも半年後には職場にも復帰。
リーリーは職場の託児所へ預けて、私は再び働きながら家事・育児・母の看病。          リーリーは夜泣きもひどく。よく熱を出したり、流行病をすぐもらったりと。夜間休日診療に毎週のように駆け込む日々でした。でも毎日可愛さに癒やされる日々でした。

しかしながら今でもあの日々はもの凄かったなぁ思います。

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なちょぱ

自分で思うけど。よくあんなこと、やってたなぁ。


さらにそのうち、母にかなり進行した胃ガンが見つかりました。
緊急で手術を受けたものの、弱っていた肝臓に転移し、診断からたった半年で母は他界しました。

本当はもっと親孝行したかった。もっとそばにいたかった。
母は長男の出産から看病のとき、本当に私を献身的に支えてくれていました。

でも現実は――
毎週のように高熱を出し、解熱剤を飲みながら働いていたような私。通勤の帰り道にリーリーを連れて3日に一度。洗濯物を届けたりするのが精一杯。それ以上は無理でした。そして亡くなる3ヶ月前には退院し自宅療養。私はとにかく毎日をやりこなすだけの生活でした。


長男に続いて、母まで失い。
心が壊れそうな中で、そばにいて一番の支えになってくれたのはやはりリーリーです。

「ママ大好き!」と甘えてくれる姿に、私は何度救われたか分かりません。

子育ては、育てるだけじゃない。
私もまた、子どもたちと、母から、“愛されること”を学んでいたんだ――そう、心から思います。


母を亡くした悲しみは、もちろん大きかった。
でも長男のときと違って、「順番通り」だったから。
早すぎるとは思っても、どこかに納得できる気持ちがあったのも本当です。

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。

次回予告:第4章

そして私は、また命と向き合うことになる。
ギャンギャンの妊娠――それは、再び命の重さを試されるような日々のはじまりでした。

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