第6章 ギャンギャン。特別支援学校への進学

我が家の家族史

特別支援学校を選んだ理由

市営の保育所に通うギャンギャンの小学校入学を1年後に控えた頃。
私たち夫婦の進学に対する意見は、迷うことなく一致していました。

我ら夫婦
我ら夫婦

ギャンギャン特別支援学校(以下、支援学校)に進学させたい

この時リーリー一般の小学校の支援級に通っていました。
リーリーには知的な遅れはありませんでしたが、それでも学校生活はなかなか大変そうに見えました。

何より、ギャンギャンよりもはるかに軽度の知的障害で支援が必要だったりするリーリーの同級生たちでさえ、通常の小学生と同じように行事や活動に合わせて動かなければない状況。無理をしている姿を目にすることも多かったのです。とても辛そうに見えていました。

学校行事は、大人でも「長い〜〜〜〜〜!」とイヤになるくらいのことも多々ありますよね。リーリーの通う小学校は田舎にしては児童数も多くて、何をするにも待ち時間などがとても長かったのです。

発達障害児
発達障害児

長時間ジィ〜ッと待つのイヤだよ〜〜〜〜〜!

いっぱい人が集まっているの。本当に苦手なの〜〜〜〜

その姿を見ていたからこそ、言葉がなくオムツも手放せないギャンギャンには、支援学校の方が安心して過ごせる。無理を重ねる必要はない。
そう確信していたのです。

希望しても入れるとは限らない

ところが、支援学校を希望したからといって必ず入学できるわけではありませんでした。
保育所で行われた事前の説明会で、こう告げられました。

市役所職員
市役所職員
  • 通いたいと思っても、必ず通えるわけではありません
  • もし選考に落ちれば、遠方の支援学校(片道2時間)や一般の小学校に通ってもらうことになります

安心のために選んだはずの支援学校。
それでも“通えないかもしれない”という現実に、不安を抱えながら進学準備を進めていくことになりました。

通学時間の壁

そして何より衝撃だったのは、支援学校の校則でした。

支援学校職員
支援学校職員

校内に入れるのは朝8時45分からです

……え?

私の勤務は早番と遅番が中心。しかも通勤には1時間は必要。夫も職場は近いとはいえ、始業は9時から。
もし8時45分にギャンギャンを学校に送り届けてから出勤すれば、どちらも毎日遅刻は避けられません。

<span class="marker-red">なちょぱ</span>
なちょぱ

当時リーリーは集団登校で7:30に家から出発してたよ

では、私が朝送るために遅出を選べばどうか?
そうすると私の勤務は21時過ぎまでとなり、今度は放課後デイサービスの送り時刻(17時半)に到底間に合わない。
夫も同じような状況でした。

ギャンギャンにとって最適な環境を選びたい。
でも、その選択が私たち家族の生活リズムや仕事に大きな影響を与える——。

この時ほど、「支援学校に進学する」という壁を実感したことはありませんでした。

我ら夫婦
我ら夫婦

収入が減っても生活できなくなるし。困ったー。

<span class="marker-red">なちょぱ</span>
なちょぱ

そうだ!登校には介護タクシーを使って!7:30〜8:30はヘルパーさんに来てもらっちゃったらいいんじゃない?

早速、旦那の勤めている身体障害者支援施設の同僚さんにできるかどうか尋ねてもらいました。

ダンナ
ダンナ

職場の相談員に聞いてみたら、療育手帳持ってるなら(支援制度)使えるって言ってたよ!でも申請が必要だってさ!

福祉サービスを探す現実

私たちは、ギャンギャンを安心して支援学校に通わせるために、登下校の前にヘルパーさんに来てもらい、介護タクシーを使用する事にしました。
そこで早速「居宅介護」の申請を市役所で行ったのですが——最初に返ってきたのは衝撃的な言葉でした。

市役所職員
市役所職員

親がヘルパーにまで子どもの世話をさせて働くなんて!

市役所職員
市役所職員

そんな(親が楽したいだけで子の世話を他人にさせよるうな)申請は受けられるはずがない!

市役所職員
市役所職員

お金がないならここまでして働くよりも、親族に頼って援助してもらいなさい!

差別的とも言える対応に、私は「申請受け取り拒否なんて!我が家に対する差別です!」と食い下がりました。
説教を受けながら、食い下がり必死に申請を進めていきました。

ヘルパー事業所探しの壁

そして次に待ち受けていたのは、肝心要のヘルパーさん探し。
市役所の福祉課で事業所の一覧をもらい、しらみ潰しに電話していきました。

2000年以降、福祉サービスは「措置制度」から「利用契約制度」に変わりました。
つまり、自分でサービス提供者を探さなければならないのです。

ですが

  • 朝は 7:30〜8:30
  • 夕方は 17:30〜18:30
  • 依頼は不定期

どちらも私たち夫婦の出勤・帰宅に重なる時間帯。
けれども、これらはヘルパー事業所にとって「勤務時間外」であり、しかも曜日や回数も不定期。
さらに「子どもの世話」「知的障害児」「親は不在」——。

条件を伝えると、ほとんどの事業所は開口一番にこう言いました。

  • 「そんな(不定期で時間帯も常識はずれすぎる)依頼は受けられません」
  • 「子どもの世話は親がするものですよ?」
  • 「(知的障害なんて)何をしでかすかわからないのに!依頼してくるなんて。無神経ですよ!」
ダンナ
ダンナ

そんな〜〜〜!頭ごなしに言わなくても〜!

20件以上に断られ、私たち夫婦は悪いことをしているわけでもないのに、まるで責められているようで心が折れそうでした。

なちょぱ
なちょぱ

ファミサポにも障害児は困る。と断られた〜〜

通学手段をどうするか?介護タクシー探しの壁

さらにさらに、追い打ちをかけたのが「通学の足」でした。
夫婦ともにフルタイム勤務。毎朝支援学校に送って行くのは現実的に難しい。

そこで考えたのが、介護タクシーの利用です。
しかし私の住む地域では、通学に使う介護タクシーは給付の対象外。

しかも問い合わせても——

  • 「子ども単独の利用には対応していません」
  • 「朝夕の時間帯はすでに予約でいっぱいです(通院などで忙しい)」
  • 「知的障害児の単独乗車は受けられません」

結局、当時支援学校でも介護タクシーで通学する子は一人もいない状態でした。
ほとんどの母親が私と同じ壁にぶつかり、仕事を辞めたり、パートタイムに切り替えていました。

なちょぱ
なちょぱ

やっぱり私が仕事を諦めるしかないのか

でも、お金が・・・。

どうにもならない。やっぱり障害児の親が共働きなんて無理なの?諦めるべきなの?と毎日不安しかなく。苦しかったのを覚えています。

救いの出会い

そんな時、断られたヘルパーさんの事業所さんから、ある日電話がありました。万が一、事業所さんの事情が変わったら連絡して欲しい!と未練がましく連絡先を伝えておいて良かったです。

事業所さん
事業所さん

ウチは、ヘルパーを派遣できないけれど。個人で障害者ヘルパーを行ってる人と知り合ったので。紹介しますね。

我ら夫婦
我ら夫婦

やったー!ありがとうございます!地獄に仏とはこの事です〜!

すぐにその方とアポを取って面接。驚くことに、その方の知り合いにかつての同僚が数名いることが判明。福祉の業界狭いもんだ。と驚きました。

こうして幸いにも、一本の蜘蛛の糸を掴むことができたのです。

今回はここまで。最後までお読み頂きありがとうございました。

次回・第7章 「どうなった?超重度知的障害自閉症児ギャンギャン。険しいぞ!支援学校進学の道!」紆余曲折がありながら、なんとかギャンギャンが支援学校に通い出すまでの厳し〜〜い道のりのお話です。

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