長男を亡くし、そして実母まで失った私。
それでもリーリーが側にいてくれたから、生きてこられた。
「ママ、だいすき!」と全身で体当たりしてくれる。仕事をしながらの子育ては正直大変だったけれど。この温もりに、いつも私は救われていました。

ママ!だいすき〜〜〜!!
そんなある日、私は双子の妊娠を告げられた。
驚きと不安、でも確かにそこには喜びもあった。
だけど妊娠初期からつわりが酷く、水を飲んでも吐いてしまう状態。
お金もなくて、やっぱり休職することもできず。リーリーを連れて毎日午前だけ出勤。
仕事後は、勤めていた病院の外来で点滴を受ける日々だった。 当時実父が頚椎の手術を受けており、点滴後リーリーを連れて洗濯物など届けに2日に一度は通ってました。毎日フラフラでした。

つわりで一ヶ月で10キロやせた〜〜〜
そんな中、通っていた妊婦健診でこう言われました。

ギャンギャンちゃんの着床位置が少し気になります。(リーリーの帝王切開の傷跡の上)とても大変な出産になるかもしれません。大きな総合病院へ紹介します!
そこから、事態は一気に進んでいきました。
その後新しい病院での精密検査の結果、私は全前置胎盤と癒着胎盤の疑いありと診断されました。
双胎妊娠 × 全前置胎盤 × 癒着胎盤 ― その危険性とは?
1. 双胎妊娠とは
双胎妊娠(ふたご妊娠)は、母体への負担が非常に大きくなる妊娠です。妊娠高血圧症候群や早産、胎児発育不全などのリスクが高まるだけでなく、合併症が起きた場合の管理が非常に難しいとされています。
2. 全前置胎盤のリスク
全前置胎盤とは、胎盤が子宮口を完全に覆っている状態で、経腟分娩が不可能となり、帝王切開が必須です。妊娠後期になると突然の大量出血が起こるリスクがあり、1,000mlを超える出血は母体の命に関わります。
3. 癒着胎盤のリスク
癒着胎盤は、胎盤が子宮に深く根を張ってしまい、出産時に自然に剥がれない状態です。重度の場合は子宮摘出が必要になることもあり、大量出血を伴う非常に危険な合併症です。
4. 三つの重なりが意味すること
双胎妊娠、全前置胎盤、癒着胎盤。これらが重なることで、妊娠・出産そのものが命がけの行為となります。帝王切開であっても命の保証はなく、事前の綿密な準備と管理が不可欠です。
お腹の赤ちゃんの命はもちろん、自分の命も危うい状態。
「管理入院が必要です」と言われたその日の夜。夫婦で話し合って。リーリーを児童養護施設へ預ける決断をしました。早速次の日から市役所へ相談に行きました。そうしないと夫の夜勤などに対応できる預け先がなかったのです。
児童養護施設へ子どもを預ける方法についてご説明します
これは非常に慎重な判断と手続きが必要なものであり、「一時的な家庭の事情」や「養育困難」など、さまざまな理由に応じて対応が異なります。以下に、主な流れを整理しました。
🔶 児童養護施設への預け入れ方法(基本の流れ)
① まずは相談窓口へ
児童養護施設への預け入れは、児童相談所(児相)を通じて行われます。
まずはお住まいの地域の児童相談所または市町村の福祉課(子ども家庭課など)へ相談してください。
🔸 相談先例:
- 市役所や区役所の「こども家庭課」
- 最寄りの児童相談所
- 子育て支援センターや保健センター(紹介してくれる場合あり)
② 相談内容の確認とアセスメント
相談を受けた児童相談所では、以下のような点を確認します:
- なぜ預けたいのか(家庭の状況・病気・育児困難・虐待の恐れなど)
- 保護者の意向や希望
- 子どもの年齢・性格・健康状態
- 他の支援方法がないか(訪問型支援・ショートステイなど)
※一時的な事情であれば「ショートステイ」や「トワイライトステイ」などの一時保護制度が使えることもあります。
③ 一時保護か施設入所かの判断
児相が必要と判断した場合、以下の形で一時的な保護が検討されます。
項目 | 内容 |
---|---|
一時保護 | 緊急対応(例:親の病気・家庭崩壊・虐待等)。原則2ヶ月以内 |
ショートステイ | 数日〜2週間程度の預かり(福祉型短期入所) |
児童養護施設 | 原則として中長期の養育(家庭復帰または里親委託までの間) |
④ 必要書類と手続き
児童相談所が施設入所を決定すると、以下のような手続きが進みます。
- 家庭状況の聞き取り
- 入所申請書・同意書の提出
- 健康診断書・母子手帳などの提出(必要に応じて)
- 子どもの持ち物準備(衣類・保険証など)
🔷 入所後のこと
- 定期的に児童相談所が面談やモニタリングを行います。
- 保護者との面会・外泊などは状況に応じて許可されます。
- 原則として家庭復帰が目標とされますが、長期入所や里親委託も検討されます。
🔶 預ける理由の例(正直に相談を)
- 母親の出産や入院などで子どもを一時的に預けたい
- DVや虐待から子どもを守りたい
- 経済的・精神的に限界で、養育が困難
- シングルで支援者がいない
- 障害のある子の育児で限界を感じている
🔷 よくあるQ&A
Q. お金はかかるの?
A. 基本的に児童福祉法に基づく公費負担です。ただし、保護者に一定の負担能力があれば、一部費用の負担を求められる場合もあります。ちなみに我が家は一ヶ月保育園の保育料+2万円くらい請求されました。
Q. 預けたら親権はなくなる?
A. いいえ、親権は保持されます。親が育てられない間の代替的な養育としての措置です。
🔸まとめ
手順 | 内容 |
---|---|
① | 地域の児童相談所や市町村の福祉課に相談 |
② | 家庭状況の聞き取りとアセスメント |
③ | 必要性があれば一時保護や入所決定 |
④ | 書類手続き後に入所スタート |
⑤ | 定期的な面談・支援計画の見直し |
必要であれば、面会の頻度や退所後の支援についても早い段階で話し合うことが大切です。
不安な気持ちも多いと思いますが、「親としての責任を放棄する」のではなく、「必要な支援を受けて立て直す」ための制度として活用していただけたらと思います。
リーリーは、まだ2歳半。
大好きなお母さんから引き離されることが、どれほど辛いか――
だけど、当時の施設職員からこう言われました。

お母さん、別れの言葉はかけないでくださいね。
リーリーちゃんが辛いだけですから
だから私は、ソーッとその場を離れた。
リーリーは施設の水槽の魚に夢中だったタイミングを狙って。
その小さな背中に向かって、私は心の中で語りかけた。
「お母さん、頑張って赤ちゃんを産むからね!待っててね!」
「あなたの命は保証できません」
私はその足で大学病院に入院。
入院からわずか3日後の深夜、大量出血が起きました。
その時、医師から静かにこう告げられた。

……本当に、産む気ですか?
今ならまだお子さんをあきらめることもできますよ?
私の命はもちろん、双子の命も保証はできないこと。そのことをじっくりと説明されても私の心はゆるぎませんでした。

産みます!よろしくお願いします!
夜勤担当の医師には、もっと直接的に批判されました。

あー!大変なこっちゃ!全くあんたが産みたいなんて言うからだよ。
子どもなんてまた作ればいいのに、こっちの身になれよ!わがままだ!
この妊娠は「母体保護が難しいので中絶をオススメします。」と何度も言われていた。
でもどうしても、お腹の子達に「死んで」とは絶対言えなかった。
たとえ自分の命が失われても良いと思っていた。私はこの双子を、この世に迎えたかった。
三男の死と、迫る出産の決断
幸い、大きな出血はそれっきりで、妊娠は継続された。
けれども食事は寝たまま。おにぎりと、おかずは串に刺して提供された。
でも、それで子どもたちの命が守れるなら、何の苦でもなかったのを覚えています。
しかし双子のうち、三男の成長はだんだんと遅れていってました。
そして、出産予定の1ヶ月前。三男の心音が停止。
その少し前に主治医に「三男だけでも助けられないか」と泣いて相談しましたが、返ってきた言葉は、

外に出して治療する以外に方法はない。
でも今出したら、ちゃんと育っているギャンギャンの無事は保証できない
そうして私はまたひとり、子どもを失ったのでした。
「私の命より、子どもを優先してください」
そこから、主治医と私たち夫婦は「もしものとき」のための話し合いをした。
私は、自分の命より子どもを優先してほしいと主治医に伝えた。
夫には「再婚するなら、リーリーとギャンギャンは手放して」と頼み、
自分の死亡保険についても説明した。
友人には「会えなくなるかもしれない」と伝え、面会に来てもらった。
面会に来た友人たちは、のちにこう言った。

冗談かと思ってたよ。あまりに普通に話してたから
それでも私は、毎朝「今日も生きて朝が来た」と思いながら、
3日に1度リーリーの様子を電話で確認するのが一番の楽しみでした。
当時「生きて、リーリーとギャンギャンを育てていく」
そう願う気持ちと、
「死んだら、長男・三男・母に会える」
という相反する気持ちを抱えていました。
予定帝王切開の3日前の深夜。
なぜか深夜にフッと目が覚めた私は。次の瞬間、股間に広がる温かさを感じました。
「来た」そう思ってナースコールを押し、「出血しました」と静かに告げました。
すぐに数名の看護師が駆けつけて来て、私はベットごと手術室に運び込まれました。 その時の夜勤の若い医師がカルテを見た瞬間、顔色を変えて叫びました。

こんなの無理〜〜〜〜〜!!! 自分には(執刀)できない!!!
そして――私の目の前で泣き出しました。衝撃的な光景ですね。今思い出しても「ないわ〜っ」て思います。まあでも、経験の浅い医師には自分の出産は手に負えないのは事実。気持ちはわかるが、せめて裏方で泣いてほしかったですね。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
次回。【第4章 後半】(緊急帝王切開・ギャンギャン誕生・出産後の暮らし)になります。
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